
- 場所:〒630-8301 奈良県奈良市高畑町
- 開館時間:3月〜11月 9:30〜17:30
12月〜2月 9:30〜16:30
(閉館30分前までに入場のこと) - 休館日:年末年始
- 入館料:大人:350円 中学生:200円 小学生:100円
団体料金(30名以上):大人:300円 中学生:160円 小学生:80円 - アクセス:近鉄奈良駅より徒歩25分


志賀直哉旧居 The former residence of Shiga Naoya (奈良県指定有形文化財)
志賀直哉とは (1908-1971)
志賀直哉は、宮城県石巻市に1883年2月20日に生まれ、明治から昭和にかけて活躍した小説家です。学習院学習院初等科から高等科卒、東京帝国大学国文科中退しています。
1910年に、武者小路実篤、有島武郎らと『白樺』という文芸雑誌を創刊しました。
近代文学の最高峰とも称される「暗夜行路」の著者で小説の神様とよばれ、多くの作家に影響を与えました。


志賀直哉旧居の見どころ
志賀直哉は生涯を通して、26回も引越しをしています。
こちらの旧居は志賀直哉とその家族が1929年から1938年までの約9年間暮らした住まいです。
志賀直哉自身が自ら設計して、京都の数寄屋大工の棟梁下島松之助に建築を依頼した邸宅。
この旧居には志賀直哉を慕って、多くの作家や芸術家が訪れ、文化交流が行われ、奈良市高畑の名をとって、「高畑サロン」と呼ばれていました。
2008年より復元改修工事が行われ、2009年に完了し一般公開が始まりました。
2階の書斎
志賀直哉の代表作「暗夜行路」をこの二階の書斎で完成させました。(1937年)
南向きの和室で夏場以外主に、この書斎を使っていました。



客間
作家の小林多喜二などが泊まったとされています。この部屋にはかつて谷崎潤一郎から譲られた菩薩像が置かれていました。(現在は、早稲田大学會津八一記念博物館に所蔵)




北庭の池
池では、日本だけに生息するモリアオガエルが梅雨の頃に観察できるそうです。


茶室
裏千家関係の数寄屋大工によって作られた茶室で、天井は平天井、落天井、掛込天井で構成されています。婦人と志賀直哉の娘達が、お茶の稽古に使用していたそうです。




1階の書斎
主に夏場に使用されていた書斎。北向きに置かれた志賀直哉の愛用の書斎机。若い頃は書斎は北向きが好きだったと言います。




台所
流し台、ガスコンロ、冷蔵庫などが備わり、当時の最新の設備が設けられていたモダンな台所。




食堂
牛革の皮張りのソファーが隅に配置されている、約20畳の広さの大きな部屋です。漆喰塗りの洋風の天井と行灯型のオリジナルの照明。

サンルーム
サンルームは約15畳の広さにガラス張りの窓が開放的で数寄屋造りの特徴を生かした部屋で、床は特注の塼(せん)が敷かれています。クローバー型のテーブルは当時のものだそうです。(1つは複製)
多くの文人や画家が集まる交流の場として使われ、やがて「高畑サロン」と呼ばれるようになったシンボルとなった部屋。


中庭


廊下

子供の寝室

直哉の居間
床格子が設けられた踏込の壁から隣の子供部屋の子供の様子を見守ることができる作りになっています。


夫人の居間
押し入れには仏壇のスペースがあります。


浴室・洗面
角型、木製の五右衛門風呂が置かれていました。


志賀直哉の窓

奈良学園セミナーハウスとして各部屋を貸室として利用できます
茶室、食堂、サンルーム、客間など、すべての部屋を半日あたりで、低料金で貸し出しをされているので、利用することができます。営利目的ではない文化活動などのお茶会や音楽会、勉強会、お花の会などに使われているそうです。(部屋での飲食はできません。)
詳細は志賀直哉旧居、受付まで直接お尋ねください。

今回、初めて見学しましたが、部屋の数と広さに驚きました。高畑サロンと呼ばれたサンルームや食堂も、まさに和洋折衷という感じで、現在の近代的な建築とはまた違った味があり、素敵でした。高畑周辺はとても静かで落ち着いていて、歩いて散策するのも良い場所なので、行かれたことがない方はぜひ立ち寄ってみると良いと思います。